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『かたち』(フィリップ・ボール著、林大訳、早川書房)


c0077412_1141861.jpg『Nature’s Patterns』(Philip Ball)
自然界には複雑で精巧な模様が溢れている。蜂の巣を構成する六角形の集まり、シマウマの白黒の縞模様、ヒマワリの頭花に見られる二重らせん、チョウの羽の目玉模様のように、設計者がいるとしか思えないようなものも多い。これらの模様は創造主という設計者によって作られたものなのか、あるいは動物や植物が生き残るために自ら選んだものなのだろうか。本書はこの課題に取り組んだ大勢の科学者たちの研究過程、研究成果をこと細かに紹介する科学読み物である。結論をいえば、自然界に見られる模様やかたちは、設計されたものではもちろんなければ、ほとんどが自然選択されたものでもなく、数学や物理の法則にしたがってひとりでにできあがるのだという。

研究者の名(ダーウインはいいとして、ダーシー・トムソン、ベロウソフとジャボチンスキー、テューリングなどなど)や専門用語(モルフォゲン、フィボナッチ数列、ホメオティック遺伝子などなど)がたくさん出てくるので取っつきにくいが、文章そのものはわかりやすく、図版や写真が多用されているので、意外に読みやすい。
印象に残った文は、「自然は、模様を作り出したいという抑えようのない衝動を抱えており、必要などなくてもそうする」と、「すべての形態発生の根っこには自然の組織力があるというヘッケルとドイツの自然哲学者たちの考えは、全く現代の生物学に裏づけられていない。生きている自然はパターン形成を多くのやりかたで活用するということについて説得力のある主調ができる(中略)。しかし自然は、高いところにある力によって支配される子分としてではなく、本質的にご都合主義者としてそうするようだ」のふたつ。
印象に残った人物はウラジーミル・ナボコフ。『ロリータ』で有名になる前、ハーヴァード大学比較動物学博物館のキュレーターをしていて、1940年代にはチョウについてのちょっとした専門家となり、いくつかの新種がナボコフにちなんで名づけられたという。(2012.9.3読了)
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by nishinayuu | 2012-10-26 11:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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