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『はやぶさの大冒険』(山根一眞著、マガジンハウス)


c0077412_1626538.jpg読書会「かんあおい」2012年9月の課題図書。
2003年5月に地球を飛び立ち、約60億キロの旅を終えて2010年6月に地球に帰還した「はやぶさ」の物語。「はやぶさ」の開発チームに密着取材し続けた著者によるドキュメンタリーで、科学者たちとのインタビューやら図版・写真などによって堅苦しい内容がわかりやすく解説されており、科学音痴にも充分楽しめる読み物になっている。また、科学者たちが「はやぶさ」の不調や回復に一喜一憂するようすと、まるでそれに応えるかのような「はやぶさ」の動きが、親が子どもを見守るかのように、また子どもが親に応えて奮闘しているかのように描写されていて、大冒険を終えて帰還した「はやぶさ」を迎えるシーンでは科学者たちといっしょに感動の涙を流してしまいそうになる。
特に興味深かった事柄を以下に記しておく。
1.MUSES-C――「はやぶさ」の打ち上げ前の名前。前の部分はMu Space Engineering Satellite(ミューロケットによる宇宙工学実験衛星)。
2.「はやぶさ」という名前の由来――①糸川博士は戦時中に6000機近くも生産された戦闘機「隼」の開発に携わっていた。②小惑星に舞い降りて岩石のサンプルをぱっとつかんで持ち帰る姿が、猛禽類のハヤブサのようだ。③糸川教授や的川教授(当時の内之浦宇宙センター所長)らが内之浦へ行く時は、東京から鹿児島行きの長距離寝台特急「はやぶさ」を利用していた。
3.小惑星「Itokawa」の由来――日本のロケットの父であり、宇宙研の産みの親である糸川英夫の名から。この小惑星の発見者は1998年9月26日にマサチューセッツ工科大リンカーン研究所の地球近傍小惑星探査チーム。小惑星の命名権は発見者にあるが、はやぶさチームが上記のチームにイトカワと命名してくれるよう頼んだところ、快諾してくれたという。正式名は「25143Itokawa」、略称「イトカワ」、愛称「ラッコ」。
4.イトカワ上の地名――太陽系天体の表面地形に名称をつける場合、「100mより大きな地形には神の名、国際的に著名な地名をつけるべきである」という国際天文学連盟(IAU)のガイドラインがある。それでたとえば「Muses Sea」(ミューゼスの海)はギリシア神話に登場する詩や音楽の女神9姉妹のミューズと、はやぶさの元来の名称がMUSES-Cからとり、最後のCはSeaにひっかけた。
(2012.6.23読了)
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by nishinayuu | 2012-08-18 16:26 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2012-08-20 00:07 x
著者の山根一眞さんを日曜日のテレビ番組で見ました。様々な科学ドキュメンタリーの著作をものにしている方なのですね。テレビでは深海艇から見たものについて語っていました。
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