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『Cymbeline』(W. Shakespeare著、Greenwich House)


c0077412_1621488.jpg1609~10に書かれたと推定される作品。初期の頃は「悲劇」に分類されていたが、現在は「ロマンス劇」という分類になっている。ケルト人のブリテン王であるシンベリーンをめぐる人びとの軋轢と和解の物語なので、確かに「悲劇」という分類には違和感がある。
王女の男装、毒薬による仮死と復活、葬送の合唱など、盛りだくさんの見せ場があり、第5幕4場には、雷鳴と稲妻の中を、なんと鷲にまたがったジュピターが天下ってくる、という場面まであって、役者も観客も大いに盛り上がっただろうと推測できる。因みに、王女などの女性の役はもともと少年が演じていたので、男装はお手の物だったわけだ。主な登場人物は以下の通り。
Cymbeline(シンベリーン)ケルト人の王クノベリヌスという実在のモデルがいるらしい。先妻との間に二人の王子と王女イモージェンがいる。王妃の諫言に惑わされる頼りない王である。
Guiderius(グィディリアス)シンベリーンの息子。モーガンを父親と思っている。別名Polydore。
Arviragus(アーヴィラガス)同上。別名Cadwal。二人は少年姿のイモージェンを妹とは知らずにかわいがる。
Cloten(クロウトゥン)王妃の連れ子。イモージェンに求婚するがはねつけられ、逆恨みする。
Leonatus Posthumus(リーオネイタス・ポステュマス)秘かにイモージェンと結婚したために追放され、ローマで暮らす。賭の相手に騙されてイモージェンの貞節を疑い、一時破れかぶれになる。今ひとつ頼りにならない男であるが、いちおう主役級の人物であり、一時代を築いた名優Garric(ギャリック)の当たり役だったという。
Belarius(ベレーリアス)元貴族。別名Mogan(モーガン)。追放されたとき二人の王子を誘拐し、自分の子として育ててきた。高貴な気質を表し始めた二人を王の許に戻す。
Cornelius(コーニーリアス)医師。王妃からイモージェンに薬を渡すよう命じられたとき、王妃の悪巧みを見抜いて、毒薬ではなく、一時的に死んだように見える薬を渡す。
Pisanio(ピザーニオウ)ポステュマスの従者。イモージェンの味方。
Caius Lucius(カイアス・ルーシアス)ローマ軍の将軍。反旗を翻したブリテンに討伐にやってくる。
Philario(フィラーリオ)ローマの紳士。ポステュマスの友人。ただし、あまり役に立たない友人である。
Iachimo(イーアーキモウ)同上。イモージェンの貞節に関してポステュマスに賭を持ちかけ、彼女の部屋に忍び込んで部屋の様子や彼女の胸のほくろを観察しておいて、彼女をものにした、とポステュマスを騙す。因みに、オセロのイアーゴウとIaの部分が共通しているのが興味深い。二つの例だけで結論を下すのは強引だが、もしかしたらIaで始まる名前の人間には悪いやつが多い?
Queen(王妃)シンベリーンの宮廷における悪の元凶。連れ子のクロウトゥンを王位に就けるため画策するが、肝心の息子は行方不明になる(実はグイディリアスに殺されてしまっている)。病に倒れたあと、数々の悪事を告白して死んでいく。
Imogen(イモージェン)シンベリーンの娘。美しくたおやかで、実は芯が強くて毅然としている、という理想的な女性。(2012.5.12読了)
☆画像はBiblio Bazaarのものです。
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by nishinayuu | 2012-07-07 16:02 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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