『むずかしい愛』(イタロ・カルヴィーノ著、和田忠彦訳、福武書店)


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1949年から1959年までに書かれた短編作品を集めたもので、原題はGli Amori Difficili。収録作品は以下の12編。



「ある兵士の冒険」――兵士が汽車に乗り合わせた女性に妄想を抱くと、女性の方もそれに応えて……。
「ある悪党の冒険」――娼婦のベッドに逃げ込んだ悪党。警官が追ってきたのでトイレに隠れると……。
「ある海水浴客の冒険」――泳いでいるうちに水着の下半分がなくなっているのに気づいた女性は……。
「ある会社員の冒険」――思いがけず一夜のアヴァンチュールを楽しんだ男。その余韻が続くのは……。
「ある写真家の冒険」――写真愛好家に懐疑的だったために、かえって写真にのめり込んでいく男。
「ある旅行者の冒険」――遠距離恋愛の男が列車の中で過ごす究極のこだわりの一夜。
「ある読者の冒険」――浜辺で読書をする男。本に集中したいのに魅惑的な女性が目に入って……。
「ある近視男の冒険」――初めて眼鏡をかけたとき、男の前には新しい魅力的な世界が現れたが……。
「ある妻の冒険」――夫の旅行中に若い男に送られて朝帰りする羽目になった貞節な妻の小さな冒険。
「ある夫婦の冒険」――夜間勤務の夫と昼間勤務の妻が互いの存在を確認するのはベッドに残る温もり。
「ある詩人の冒険」――恋人とボート遊びをする男。風景は沈黙に満ち、頭の中にはことばが溢れる。
「あるスキーヤーの冒険」――緑色サングラスの男の前で空色フードの娘が描く鮮やかなシュプール。
ちょっと理屈っぽくて小難しい話もあるが、つまらない話は一つもない。特に愉快なのが「ある旅行者の冒険」と「ある読者の冒険」。どちらの主人公も他人から見たらあきれるほどのこだわり派。これらの主人公に共感できる人にも、全く共感できない人にも楽しく読めるはず。(2012.2.12読了)
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by nishinayuu | 2012-04-03 10:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
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Commented by マリーゴールド at 2012-04-06 18:39 x
イタリアの作家ですか。デカメロンの現代版という趣でしょうか。風刺の対象になっている職業とか、身分とかあるのでしょうか。
Commented by nishinayuu at 2012-04-06 23:08
イタリアの作家です。デカメロンは恥ずかしいことに読んでいませんので、なんともお答えできません。これまでに何度が読書ノートに取り上げていますので、お読みいただければ傾向が少しはおわかりになるかもしれません。
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