『ねじれた夏』(ウィロ・デイビス・ロバーツ著、笹野洋子訳、講談社)

c0077412_18434245.jpg14歳の少女・シシーを主人公とするヤング・アダルト小説。
シシーは小さい頃から夏はいつも、クリスタル・レイクのほとりにある祖父母の家で過ごしている。前の年はパパが出張することになったハワイに家族みんなでついて行き、パパの仕事が終わってからもそこで過ごしたため、クリスタル・レイクには来られなかった。それでシシーは、毎夏いっしょに過ごしてきた仲間たちに一年ぶりに会えることと、14歳になったこの夏は「大きな子たち」の仲間に入れてもらえるかもしれないことを期待して、祖父母の家にやってきたのだった。
ところが祖父母のコテージに着いてみると、リーナ・シュリークの姿はなく、別の女性が台所で働いていた。この家で20年以上も働いていたリーナが「去年のごたごた」のときにやめたと聞いて、シシーはショックを受ける。いとこのジニーと湖に泳ぎに出かけたシシーは、リーナの息子・ジャックの姿をさがす。ジャックの姿も、その兄で大きい子たちのリーダー的な存在であるブロディの姿も見えない。今年こそはジャックに一人前の女の子として認めてもらおうと思っていたのに。
「去年のごたごた」というのは、仲間のひとりであるゾーイ・シレクが他殺体で見つかり、犯人としてブロディが捕まった事件だった。ブロディは裁判の結果25年の刑が確定して刑務所に入り、リーナは祖父の家で働くのをやめ、ジャックも仲間たちから離れたのだという。これらのことをシシーの一家はまったく知らされていなかった。一族や仲間のだれもが、誰かがシシーたちに知らせたと思っていたらしい。
ジャックやリーナに会って話を聞いたシシーは、ゾーイ殺しの犯人は別にいる、と確信して秘かに調べ始める。力になって欲しいというリーナの願いを、祖父は聞き入れなかったという。それで祖父の机の引き出しを探ってみると小切手帳が見つかる。14ヶ月の間、毎月1000ドルが現金に換えられているのがわかったが、なんのためかはわからない。それからシシーは、地域の住人たちのうち15歳以上の人たちの一覧表も作成する。名前、動機、機会、アリバイ、備考の欄を作り、わかったことを書いていく。祖父の部屋でその作業をしているとき、電話のベルが鳴る。シシーが受話器を取ると、何も言わないうちに相手がしゃべる。「忘れてんじゃないかね、ジャッジ(判事)。もう待てんぞ」。
ジャックの協力でシシーの捜査は少しずつ核心に迫っていき、同時にジャックとの友情(と愛情)も深まっていく。ミステリーとして読むにはいまいちだが、青春小説としてはなかなかいい。(2011.6.18読了)

☆疑問が一つ。「わたしは息もたえだえといったようすでつばを飲みこんでから、二、三回深呼吸をした」という表現には違和感があるのですが、いかがでしょうか。
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by nishinayuu | 2011-09-20 18:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
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Commented by マリーゴールド at 2011-09-23 14:12 x
青春の友情を深めるものはともに行動する冒険の数々。ミステリーの謎に挑むのも冒険。おもしろそう。結末も軽そうですね。軽いのがいいですね。「息もたえだえ....」の訳は「つばを飲み込んで深呼吸で息を整えた」ということでしょうね。
Commented by nishinayuu at 2011-09-25 16:54
『ねじれた夏』の記事、きちんと読み直さずにupしてしまいました。☆印のあとの文で私が「疑問」と書いたのは「わたしは」と「といったようすで」の組み合わせのことです。アンダーラインを付けないとどこに疑問を持ったのかよくわかりませんよね。お詫びして訂正します。
それから、続けて三通もコメントを下さったのに、気がつくのが遅れてすみませんでした。台風で電話線が切れていた間に、やらなければならないことがたまってしまっていたのです。重ねてお詫びします。
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