『Trouble Is My Business』(Raymond Chandler 著、Penguin)

c0077412_10585598.jpgタイトルとなっているこのあまりにも有名なことばは、私立探偵のジョン・ダルマスが仕事の仲介者であるアンナ・ホールスィのYou might get into troubleということばに応えて言ったもので、上記の本では2ページ目に登場する。トラブルに巻き込まれるかもしれない、と言うアンナに、「トラブルがおれの商売だぜ」、とカッコヨク応えたわけで、清水俊二訳では「怖じけづいてちゃ商売にならない」、稲葉明雄訳では「事件屋稼業」と、やはりカッコヨク訳されている。
さて、仕事に取りかかってみると、ダルマスは行く先々で死体に遭遇する。最初の死体はジーターに雇われていた調査員アーボウガスト、次は二人組の殺し屋の片割れフリスキー・Lavon(読み方がわかりません-汗)、そしてジーターの息子のジェラルド、という具合。だからダルマスは、上記のような粋がった台詞を吐いたわけではなく、「俺っていつもトラブルに巻き込まれちゃうんだよね」と言ったのではないかと思えてくる。因みにジーターというのは息子が付き合っているハリエット・ハントレスに関する調査をアンナに依頼した人物。登場人物は以上の他に、ハリエットの後見人である有力者マーティ・エステル、ジーターの運転手ジョージ、ハリエットの住むエル・ミラノの管理人(?)ミスター・グレゴリー、そして主要人物ではないが絵になりそうな人物としてvery Englishなジーター家の執事などである。
ところで、この名台詞を吐いた人物はマーロウだと記憶していたのに、ダルマスとなっていて、おや、と思った。ウエブで調べてみたところ、チャンドラーの多くの作品において、発表当時カーマディやダルマスなどの名を持っていた主人公もしくは語り手が、後にマーロウに統一されていったらしい。したがって日本語訳もダルマス(清水俊二訳)とマーロウ(稲葉明雄訳)が混在しているという。(2011.3.18読了)
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by nishinayuu | 2011-06-19 10:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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