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『イオーヌィチ』(アントン・チェーホフ著、神西清訳、岩波書店)


c0077412_10333323.jpg大ロシアの田舎町で、後にも先にもたった一度の恋をして、その後はずっと孤独で退屈な人生を送っている男の話。
主人公のイオーヌィチは、駆け出しの医者だった頃に町の名士の娘に恋をしてふられる。そのまま歳月を重ねる内に恋心は消え失せ、後に娘に再会しても「あのとき(嫁に)もらわなくてよかった」と思うまでになる。一方、夢と希望にあふれて都会に出て行った娘のほうは、やがて平凡な結婚を願うようになり、主人公に改めて近づこうとするが相手にされず、そのうち病気がちになって母親と一緒に保養に出かけたりしている。
田舎医者として成功した主人公は、裕福にはなったが友人もなく、いっしょに食事を楽しむ相手もいない。そして身体は肥え太り、気むずかしい癇癪持ちになる。町の名士で娘の父親であるイヴァン・ペトローヴィチだけは「年も取らず、ちっとも変わらないで、例によって例の如くのべつ洒落のめしたり一口噺をやったりしている。」――というところでこの小説は終わっている。(2010.11.23読了)

☆主人公の将来は想像できるからいいが、イヴァン・ペトローヴィチがいつまで「ちっとも変わらない」でいられるかを語ってくれていないので、フランス映画の終わり方のようでなんだかすっきりしません。なお、この作品は「青空文庫」で読みました。
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by nishinayuu | 2011-03-15 10:33 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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