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『ホース・ウィスパラー』(N・エヴァンス著、村松潔訳、新潮社)

c0077412_11222654.jpg「最後に再び死があるように、初めにも死があった」という不安をかき立てる文で物語は始まる。続いて初雪の朝、乗馬をしに出かける二人の少女と、チェーンを付けていない大型トレーラーを運転して目的地に急ぐ運転手が登場する。そして、トレーラーがスリップし、驚いた馬が足を滑らせて……。
友人のジュディットとその愛馬のガリバーは、グレース(13歳)の目の前で無惨な死を遂げる。グレース自身も片足切断という大怪我を負い、愛馬のピルグリムは大怪我をした上、事故の衝撃で荒れ狂い、人を寄せつけなくなってしまう。
友を失い、愛馬を失い、身体の自由も失って心を固く閉ざしたグレースと、やはり人間に対して心を閉ざしたピルグリムが、ホース・ウィスパラーとの出会いによって徐々に回復していく過程が丁寧に描かれており、思春期の淡い恋と大人たちの恋も盛り込まれて、読み応えのある作品になっている。ただ、冒頭で予告されたとおり、最後にもう一つの死が訪れるのであるが、この二つ目の死はなくてもよかったのではないか、という疑問が残る。
馬と心を通わせる、というとドリトル先生が思い浮かぶが、ここに登場するホース・ウィスパラーはもっと若くて格好いい。「モンタナの風に吹かれて」というタイトルで映画化された作品で、ロバート・レッドフォードがこの役をやっているのもうなずける。(201.8.29読了)
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by nishinayuu | 2010-12-24 11:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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