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『裁判』(エルマー・ライス著、林清俊訳、青空文庫)

c0077412_958879.jpg陪審員の一人が遅刻してきた場面から始まり、陪審員が評決を下すまでを描いた戯曲形式の作品。
事件の状況は第1幕の1場で明らかにされる。――6月24日夜のトラスク邸。トラスクが外出先から帰宅し、ストリックランドが借金を返してくれたと言って現金1万ドルを秘書に渡す。秘書のグローバーは現金を金庫に入れたあと、金庫のダイアルを回す間、身体で金庫を隠す。トラスク夫妻が離婚する、しないでもめ、結局仲直りして部屋を出ていく。するとグローバーが登場して暗闇のなかで金庫から現金を取り出し、物音に気づいて入ってきたミセス・トラスクを押し倒す。そこへストリックランドがピストルを持って窓から侵入してきて、グローバーは暗闇に消える。電話の音でトラスクが登場、「ああ、メイ、君か」と言ったところでストリックランドに気づく。ストリックランドが発砲し、トラスクが死ぬ。グローバーが杖を持って現れ、ストリックランドを打ち据える。
第1幕の2場は法廷の場面。被告のロバート・ストリックランドははじめからジェラルド・トラスク殺害の罪を認め、弁護を拒絶している。特に、幼い娘のドリスを証人台に立てることには必死で抵抗する。第2幕の2場は事件当日のストリックランド家の書斎で、ストリックランドがピストルを持って家を飛び出すことになったいきさつが描写される。そして3幕の2場、3場で、事件の裏に隠された関係者たちの人間関係が明らかにされる。クライマックスはエピローグ。1場は陪審員室で、陪審員たちの意見は11対1に割れる。2場は陪審員たちの請求によって開かれた法廷の場面で、ここで陪審の意見は一致し、裁判は決着する。
登場人物は上記の他に、検事のグレイ、弁護士のアーバックル、裁判長のディンズモア、医師のモーガン、陪審長トランブル、サマーズほか11名の陪審員たちなど。
醜い人間はそれなりの報いを受け、心正しい人間は正当に評価される、という至極まともな内容で、気持ちよく読める。(2010.8.17読了)

☆画像は1928年に映画化された際にストリックランドを演じたバート・リトルです。
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by nishinayuu | 2010-12-15 09:55 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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