『あなたを探して』(マルク・レヴィ著、藤本優子訳、PHP)

c0077412_23225526.jpgひと癖ありそうだけれど、かわいらしい女の子が描かれた表紙から、気楽に楽しめそうな本に見えたのだが……予想に反して、重くて深い感動的作品だった。ちょっと作りすぎ、狙いすぎの感もあるけれども。
「生まれた時刻は1974年9月14日午前8時」という文で始まり、表紙の女の子のことだな、と思っていると「場所は北緯15度30分西経65度。ホンジュラス海岸沖の児島の付近がゆりかごだった」という文が続いていて「?」となる。そう、ハリケーン「フィフィ」の誕生の描写なのだった。
15歳のときに両親を事故でなくしたスーザンは、21歳になったとき平和部隊への参加を志願した。「他人のために働くことで、生きている実感を得たい」というのがその理由だった。幼い頃から一緒に育ち、今は恋人同士のフィリップは、2年の予定でホンジュラスに旅立つ彼女を空港内のバーで見送る。それからの2年間スーザンは、ハリケーンのせいでつねに生命の危険にさらされている貧しい人々の間で奮闘する。フィリップは美術学校に通いながら彼女を待つ。しかし彼女の滞在は2年では終わらなかった。1年、また1年、と彼女は滞在を延長し、フィリップは待ち続ける。互いに相手を究極の愛の対象として信頼していたが、離ればなれになって暮らす間に、それぞれ異性との付き合いもあった。時は流れ、結婚して子どももでき、デザイナーとしても成功しているフィリップのもとに、ある日突然、「この子をお願い」というスーザンの手紙とともにリサ(9歳)が現れる。スーザンは泥流に襲われた村に残り、亡くなったという。このリサが表紙に描かれている女の子で、後半はリサとフィリップ、その妻メアリの物語になっている。(2010.7.18読了)

☆中米の国ぐには地理的にも心理的にも「あまりに遠し」ですが、この際、位置くらいはしっかり頭に入れようと思って北から順に「ベグホエニコパ」と頭文字で覚えることにしました。ホがホンジュラスです。
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by nishinayuu | 2010-11-13 23:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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