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『失われた時を求めて 4』(マルセル・プルースト著、鈴木道彦訳、集英社)

c0077412_1024139.jpg『花咲く乙女たちのかげで』の第2部「土地の名・土地」の後半が収録されている。(3冊目は語り手が祖母とともに、フランソワーズを伴ってバルベックのグランドホテルに投宿したところで終わっていた)。滞在客のひとりであるヴィルパリジ侯爵夫人と祖母が昔なじみだとわかるや、支配人は語り手たちを丁重に遇するようになり、貴族嫌いのフランソワーズに関しては、ヴィルパリジ婦人がフランス貴族に特有の見事な才能を発揮して、「貴族の身分であることをゆるしてもらう」ことに成功したため、語り手や祖母はより快適にホテル生活を楽しめるようになる。
ここで語り手はロベール・ド・サンルーという青年貴族と知り合い、友情を育む。そして彼の叔父に当たるシャルリュス男爵と奇妙な出会いを経験する。また、海辺で5,6人の美少女集団を見かけてその集団の魅力のとりことなる。画家エルスチールと近づきになったおかげで、やがてこの美少女たち――アルベルチーヌ、アンドレ、ジゼール、ロズモンドら――と友だちになる。はじめ語り手は集団としての少女たちに恋心を抱き、やがてアルベルチーヌ個人に強く惹かれるようになるが、恋の進展が見られないまま夏が終わってしまう。

登場人物の容貌や立ち居振る舞い、彼らの心の動き、それらをもたらした背景、出来事の推移、などが綿密で繊細な文章で綴られており、「速読」には向かない、というより「速読」してはいけない作品である。(2010.7.12読了)

☆アンドレの方が好ましく思われるのに、語り手はなぜアルベルチーヌを選んだのだろう、と思いながら読んでいたら、終わり近くに「アンドレはあまりに知的であり、あまりに神経質であり、あまりに病弱で、あまりに私と似すぎていた」という語り手のことばがあって納得しました。
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by nishinayuu | 2010-11-04 10:02 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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