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『午後の人々』(アントニー・ポウエル著、小山太一訳、水声社)

c0077412_905728.jpg1905年生まれの作家が1931年に発表した作品である。
博物館員であるウイリアム・アトウォーターを中心に、画家、作家、出版関係者、絵画のコレクターなど、自由気ままに暮らしている男女の交流が描かれている。彼らは毎日のようにバーやクラブで飲んだりしゃべったり、食事をしたり、パーティーを開いたり――要するにくっついたり離れたりしているだけで、ストーリーもドラマもない。最後のほうで主役級の一人が海に泳ぎ出て、あとには書き置きが残っている、という場面があり、やっとドラマが起きたか、と思わせておいて、結局ドラマにはならずに終わる。訳者があとがきで、「映画化するなら『夏の夜は三たび微笑む』のイングマル・ベルイマンが最適任だったのでは」と言っているが、なるほどそんな感じの軽快で優雅でどこか不安定な世界を描いた作品である。
ちょっとやっかいなのは、ほぼ同等の比重を持つ人物が大勢登場し、その名前が時と場合によってファースト・ネームだったりファミリー・ネームだったりとめまぐるしく変わることだ。しかもプリングルやらブリスケットやらフォザリンガムやらゴスリングやら、ややこしい姓が並んでいるかと思えば、女性の名はスーザン、ソフィ、ローラ、ジェニファーといったありきたりの名前のオンパレード。顔や姿が見えないので、人物を見分けるのに苦労させられる。(2010.5.16記)
☆p.165のノーズワースが一団の黒人と言い争っている場面に「鏡の国のアリスに出てくる使者その1のアングルサクソン的な態度」ということばが出てきます。『鏡の国のアリス』を読んで(数十年間積ん読のママまだ読んでいない!)どんな態度なのかチェックしなくては。
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by nishinayuu | 2010-08-08 09:01 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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