『失われた時を求めて 2』(マルセル・プルースト著、鈴木道彦訳、集英社)

c0077412_7451135.jpg訳本全13巻の2巻目で、原作の第1編「スワン家の方へ」の第2部「スワンの恋」と第3部「土地の名・名」が収められている(巻と編と部の使い分けがややこしい!)。
「スワンの恋」で物語られているのは、語り手が生まれる前後に起こった出来事である。王族や貴族たちとも交流のある裕福なユダヤ人のスワンは、高級娼婦・オデットに紹介されてヴェルデュラン夫人のサロンに出入りするようになり、しだいにオデットに惹かれていく。しかしオデットの方はスワンが自分に夢中になったことを確信すると、初めは秘かに、やがておおっぴらにスワンを裏切り始める。スワンはオデットの不実に苦しみながらも、ますますオデットにのめり込んでいく。このスワンの恋物語の舞台となったヴェルデュラン夫人のサロンは、貴族社会への屈折した思いからくるスノッブの集まりで、そのいやらしさ、醜さが生き生きと描写されているのも読みどころの一つ。
「土地の名・名」で物語られているのは語り手の少年期の思い出である。パリに住む語り手はシャンゼリゼでスワンの娘、ジルベルトと遊び友だちになり、一方的に彼女に恋をする。この語り手のジルベルトに対する恋は、かつてのスワンのオデットに対する恋と相似形になっている。(2010.5.13記)
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by nishinayuu | 2010-08-05 07:45 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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