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『青い夢の女』(ジャン・ピエール・ガッテーニョ著、松本百合子訳、扶桑社)

c0077412_10225697.jpg精神分析医・ミシェルの診察室で、患者のオルガが絞殺される。ミシェルはオルガの話を聞きながら眠ってしまう癖があり、オルガを絞め殺す男の姿を夢の中で見ているが、夢から覚めたとき、その男がオルガの夫で暴力的なマックスなのか、ミシェル自身なのかがわからない、という錯乱状態に陥る。マックスが診察室に侵入した可能性もあれば、自分が夢を見ながらやってしまった可能性もないとは言えないからだ。とにかくオルガの死体を隠す、という行動に出たことからミシェルの苦難が始まる。
ミシェルはとりあえずオルガの死体をソファの下に押し込んだのだが、そのソファに次から次へと横たわりに来る患者たち、駐車したままのオルガの車に興味を示し、ミシェルのまわりをうろつく路上生活の男、ミシェルをオルガ殺害の犯人と確信している警視、などのせいで、ミシェルはなかなか死体の処分ができない。その間にオルガの死体は日に日に醜く変型していく。
一方、挙動のおかしいミシェルに愛想を尽かして離れていった恋人や友人たちのこと、別れた妻と暮らす息子のこと、支払いを催促されている銀行ローンのこと、警視に取り調べられたあと姿を消してしまった家政婦のことなど、ミシェルの周りには頭の痛い問題が山積している。そんなミシェルの頼るのがなんと精神分析医!なのだ。このミシェルの担当医である老精神分析医の役割もなかなか面白い。とにかく、毛色の変わった人物がいろいろ登場して、最後まであきさせない上出来の読み物である。(2010.2.27記)

☆この作品は2000年に映画化され、2001年12月22日に日本でも公開されているそうです。仏独合作で、監督はジャン・ジャック・ベネックス。キャストはジャン・ユーグ・アングラード(ミシェル役)、エレーヌ・ド・フジュロール(オルガ役)、ミキ・マノイロヴィッチ(路上生活者役)、ロベール・イルシュ(老精神分析医役)。
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by nishinayuu | 2010-05-17 10:23 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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