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『さよなら僕の夏』(レイ・ブラッドベリ著、北山克彦訳、晶文社)

c0077412_1004052.jpg読書会「かんあおい」2010年3月の課題図書。
『たんぽぽのお酒』の兄弟ダグとトムが少し大きくなって登場するが、それでもまだまだ子ども時代のまっただ中にいるふたりと仲間の少年たちの、一夏の物語である。
この夏の最大のテーマは少年たちと老人たちの対決である。少年たちは郡庁舎の時計塔から鳴り響く時計の音を止めることによって、時を止めようとする。成長をくい止めて老人にならないようにするためだ。これは南北戦争の生き残り!であり教育委員会のメンバーである老人たちへの挑戦である。
ここにはいろいろなタイプの老人たちが登場する。ブレーリングやフリーリー大佐のように、寿命が尽きて去っていく老人。ダグの自転車とぶつかって片足を骨折したクォーターメインのように、少年たちへの敵愾心に燃えている老人。クォーターメインの友人だが「我々もかつては10歳だった。我々にできるのは彼らが19歳になるのを待って戦争に送り出すことくらいだ」と言う、達観しているとも無責任ともとれる老人。そしてダグとトムのおじいちゃんのように、少年たちを温かく見守り、ときには厳しく叱ることを知っている理想的な老人。この物語はこれらの老人たちの一夏の物語でもある。(2010.2.23記)

☆『たんぽぽのお酒』の訳には疑問が残りましたが、この作品は同じ訳者のものとは思えないほどなめらかで読みやすい訳になっています。
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by nishinayuu | 2010-05-08 10:00 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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