『木』(幸田文著、新潮文庫)

c0077412_11173831.jpg読書会「かんあおい」2010年2月の課題図書。1971年から1984年にかけて日本全国のあちこちを訪ね歩いた著者が、各地で出会った「木」について綴った随想である。えぞ松に始まり、藤、ひのき、屋久杉、ひめしゃら、ポプラなど、たくさんの木が取り上げられているが、草花や野菜類などを含めると言及されている植物の種類は70以上に及ぶ。
15の章からなり、「木」そのものを描写している章もあれば、「木」と出逢ったいきさつ、「木」にまつわる思い出、「木」に対する思い、「木」をよく知る人々のことなどを語っている章もある。そうした形や雰囲気がさまざまに異なる各章を一つに繋いで統一感をもたらしているのが、著者独特の語り口である。露伴のものほどは時代を感じさせないが、明らかに現代のことばとは異なる一昔前のことばに、時には懐かしさを感じたり、時にはとまどったりしながら読むのも楽しい。(2010.2.6記)
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by nishinayuu | 2010-04-18 11:17 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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