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『素数たちの孤独』(パオロ・ジョルダーノ著、飯田亮介訳、早川書房)

c0077412_1084719.jpg著者は1982年生まれ。本書でイタリア最高の文学賞であるストレーガ賞を受賞している。
子どもの頃に、父親に強制されたスキー教室になじめず、それがもとで脚に大怪我をしてしまったアリーチェ。不格好な歩き方がコンプレックスになっていて、かなりひどい拒食症でもある。
同じく子どもの頃に、双子の片割れで智恵遅れの妹を自分の身勝手から死なせてしまう、という恐ろしい体験をしたマッティア。異常なほどの頭脳を持ちながら、友だちと交わることができない問題児で、自傷癖もある。
素数のようにそれぞれ孤立していたこんなふたりが、ふとしたきっかけで知りあう。互いの孤独を知って、二人は次第に相手との距離を縮めていく。しかし二人はどんなに近づいても決してぴったりくっつくところまで行くことはできない。「双子の素数」のようにすぐ近くにあっても、やはり素数は孤独なのである。
この物語で特に印象的なのは、二人の母親である。どちらもそれぞれに孤独で哀れな存在であるが、父親に比べると子どもとの繋がりが薄い、というか、薄すぎるのだ。アリーチェの母親は病気で死ぬよりずっと前からアリーチェにとっては存在しないも同然だったし、マッティアの母親は幼い娘が消えた時点でマッティアの存在を心から閉め出してしまっている。(2010.2.4記)

☆翻訳者によるとこの作品の映画化が進行中とのこと。詳しい情報は下記をご覧ください。
http://ryosukal.blogspot.com/2009/08/blog-post.html
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by nishinayuu | 2010-04-15 10:08 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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