『銀河市民』(ロバート・A・ハインライン著、野田昌宏訳、ハヤカワ文庫)

c0077412_10701.jpg原作は『夏への扉』が出た翌年の1957年、「Astounding Science Fiction」の9月号から12月号に連載されたもの。この翻訳本の発行は1972年である。
物語は40光年の彼方から九惑星連邦の主星サーゴンにやって来た奴隷船と、奴隷市場における奴隷売買から始まる。奴隷市場で物件97号として競売にかけられた少年ソービー。老乞食のバスリムは、買い手の付かないソービーを法外な安値で手に入れると、古い円形劇場の地下にある自分の棲み家に連れて行く……。という具合に、遙かな未来の世界を舞台としていながら、地球の歴史上の世界を彷彿とさせる場面が頻出する。高度な科学技術と昔ながらの人間社会が混在した奇妙で奇抜な物語、といったところである。また、奴隷市場でソービーを見たとき「バスリムはこの少年が純粋の地球人の血統に属しているに違いないと思った」という一文があるため、ソービーの出自と行く末への興味で一気に読ませる、という巧みな物語でもある。(2009.12.2記)
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by nishinayuu | 2010-02-04 10:07 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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