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『How to Be an Alien』(George Mikes 著、研究社)

c0077412_1094486.jpg著者はハンガリー出身で後にイギリスに帰化したミケシュ。学生時代に教科書として出合った作品で、風刺の効いた愉快な内容が気に入って、他のテキスト類はほとんど処分したあとも、何となく処分できないままになっていた。今度こそはきれいさっぱり処分するつもりで、最後にもう一度、と思って読んでみた。
やはり面白い。同じ外国人によるイギリス観察記でも、『林望のイギリス観察辞典』は明媚な風光の中で優雅に暮らす人びとを描いた、イギリス礼賛的な作品であるが、こちらはイギリス(正確にはイングランド)的な物事がいかに「風変わり」であるかを強調して茶化した作品である。両者の違いは著者の気質や趣向の違いから来るものでもあろうが、時代の違いもあるかも知れない。林望先生が見たイギリスはかつての栄光を失った代償として落ち着きと優美さを獲得したイギリスであり、ミケシュの見たイングランドは第2次大戦ごろの、まだ国力が盛んで尊大だったイングランドだからだ。
さて中身であるが、皮肉が効いていてとにかく面白いのは「自己紹介のしかた」「天気の話題」「賢そうに見せない方法」「バス運転手が楽しむ三つのゲーム」「街作りのプランの建て方」など。ヨーロッパ大陸や日本の常識との違いからくるおもしろさもあれば、日本も似たり寄ったり、ということからくるおもしろさもある。一方、学生時代もたぶん理解できなかったと思われるし、今読んでも理解できているかどうか不安になる項目もたくさんあって、90ページほどの量ながら、なかなか読みでのある作品である。
巻末に岩崎民平による懇切丁寧なnotesが付いている。(2009.11.13記)
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by nishinayuu | 2010-01-19 10:09 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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