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『星の牧場』(庄野英二著、理論社)

c0077412_1027758.jpg宮沢賢治の 『ポラーノの広場』 が時を越えて生き続けていた、という感じのお話。
物語の主人公は牧場で働く「記憶喪失症」の青年モミイチ。彼が覚えているのは自分の名前と、自分の育った牧場、兵隊としてインドシナ半島にいたときのこと、そしてかわいがっていた軍馬「ツキスミ」だけだった。モミイチの耳にはときどきツキスミの蹄の音が聞こえる。
ある日、山の奥に迷い込んだモミイチはクラリネットを吹いている男に出会う。蜜蜂飼いのこの男はモミイチを仲間の芸術家たちに紹介し、ジプシーの市場で一緒に演奏しようと誘う。ジプシーの市場とは、あちこち移動しながら働いている人たちが、それぞれの楽器を抱えて集まって来て合奏を楽しむ「ポラーノの広場」なのだった。
動植物、楽器と音楽、星が全編に散りばめられ、デストゥパーゴのような悪人は一人も出てこない理想郷の物語。長新太の絵はちょっと違うかなと思うが、著者による弦楽器の絵はなかなかいい。(2009.11.11記)
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by nishinayuu | 2010-01-16 10:27 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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