『ハードル』(青木和雄著、金の星社)

c0077412_16431683.jpg読書会「かんあおい」2009年10月の課題図書。
小学校6年生の麗音(レオン)と4年生の佑樹という兄弟を主人公に、子どもたちの抱えるさまざまな問題と、それを乗り越えて成長する子どもたちの姿を描いた作品。
家庭には仕事人間で子どもの教育は妻任せ、というか妻のいいなりの父親と、子どもたちと心を通わせようとしない頑なで偏狭な母親がいる。学校には中学受験のせいで精神的に不安定になって、万引きをしたあげく、犯人捜しが始まると罪を麗音に押しつけてしまうクラスメートや、密告者のことばを鵜呑みにして無実の者を追い詰めるような教師たちがいる。また、父親の仕事が失敗したため、父親を残して移り住んだ母親の生まれ故郷にも、保身に汲々としている教師やら、よそ者を眼の仇にする上級生やら、それを黙認している大人たちがいる。
一方、主人公たちには、心を通わせることができて常に力になってくれるような友だちが何人もいるし、優しく見守り、ときには教え諭してくれるような大人たちもいる。こうして兄弟はさまざまな危機を乗り越えていくのだが、それと並行して彼らの両親もそれぞれ親として、人間として成長してゆき、一時は家庭崩壊かと思われた彼らの一家は、固い絆で結ばれた家族として再生の道を歩みだす。――というきわめて「教育的な」物語である。
蛇足――表紙や挿絵(画:木村直代)に描かれている男の子たちは抜群のハンサム・ボーイなのに、女の子たちの顔があきれるほど不細工なのはなぜなのだろうか。(2009.10.17記)
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by nishinayuu | 2009-12-19 16:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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