『林望のイギリス観察辞典』(林 望著、平凡社)

c0077412_9304284.jpg『イギリスはおいしい』『イギリスは愉快だ』に続くイギリス・シリーズの一巻。首都ロンドン、学問の町ケンブリッジとオクスフォードなどに滞在し、イギリスの各地を旅した著者が綴る、イギリスへの愛にあふれた観察記。
たとえば同じ「天気」の話題でも、ハンガリー出身の作家ミケシュのHow to be an Alien に見られるような、からかうような筆致はどこにも見あたらず、あくまでも正面から、深い愛情を持ってイギリス、イギリス人を見ているのが特徴。タイトルが「観察辞典」となっていることからもわかるとおり、学者である著者がイギリスを深く観察して得た知識、見解を項目別に並べたもので、一般読者がイギリスをより深く知るための案内書という体裁になっている。
特に興味深いのは、普通の旅行者には体験できない、著者ならではの体験を綴った部分で、その最たるものはケンブリッジやオクスフォードでの学者としての体験であろう。またルーシー・マリア・ボストンとの交流や、彼女の手作りキルトに関する話も、イギリス児童文学好きには垂涎ものである。
矢吹申彦の装丁がいい。傘をさした山高帽の紳士が空中散歩をしていて、マグリットと共通するシュールな世界が広がっている。(2009.10.11記)
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by nishinayuu | 2009-12-16 09:30 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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