『Doctor Dolittle’s Garden』(Hugh Lofting著、Penguin)

c0077412_106587.jpgドリトル先生の話も種が尽きた?と思わせるような巻。というのも、パート1は犬たちの話で、パート2は昆虫の話という具合に中身に統一感がなく、内容もちょっと間延びしていたり、とってつけたようだったりするのだ。それでもパート3で巨大な蛾が登場すると話が俄然活気を帯びてきて、いつものドリトル先生らしくなってくる。
ところが、パート4になるとこの巨大な蛾が月から来たことがわかり、ドリトル先生はこの蛾に乗って月に旅立つ、という荒唐無稽な話になって、またかなり興ざめする。そもそもドリトル先生シリーズ全体が荒唐無稽なのだから、ここで興ざめするのは理屈に合わないかも知れないが、動物のことばが分かる、というのは愉快な夢物語であるのに反して、月の世界に行くことはすでに夢物語ではなくなっているので、蛾に乗って月へ行くという話を、動物のことばが分かるという設定と同じ次元の話として無邪気に楽しむことは無理なのだ。
もう一つこの巻で気になったのは、ドリトル先生が周囲のものに寄せる信頼の度合いが相手によって大いに違うことと、動物たち相互にも親疎の度合いの違いがあることだ。リアリティーがあるといえばいえるが、ドリトル先生一家のふんわり、ほんわかとした雰囲気が崩れてしまったようでなんだか寂しい。
そんなこんなで、この巻はあまり楽しく読めなかった。(2009.10.7記)
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by nishinayuu | 2009-12-03 10:06 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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