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『次郎物語 第3部』(下村湖人著、池田書店)

c0077412_108235.jpg中学1年から3年にかけての次郎の物語である。
始めに、恭一とその友人・大沢、次郎の三人が「無計画の計画」と銘打って実行した無計画な山行の顛末が語られる。やがて「無計画の計画」ということばは次郎の頭から片時も去らない重要なことばとなる。
次のエピソードは数学教師「ホウキョウ先生」をめぐる話。ある日ホウキョウ先生が数式を板書していて、+と-の符号を書き違ったため答えにたどり着けないことがあった。次郎がミスに気づいて先生に知らせると、先生は次郎が授業を攪乱するためにわざとやった、と誤解して立腹する。この事件に関して担任から次郎を引き渡された生徒監の朝倉先生は、「誤解された人より誤解した人のほうをいたわるべき場合もある」「誤解を解く最上の方法は次郎のほうから先生に謝ることだ」と諭す。ただし、「自分でその気になるまでは謝るな」と条件をつける。次郎が三年生のとき、ホウキョウ先生が転任することになり、次郎は決心して先生の家を訪ねる。
ホウキョウ先生事件と並行して、朝倉先生を中心とした生徒たちの集まりである「白鳥会」の一員となり、「無計画の計画」「白鳥芦花に入る」「誠」などのことばについて思索しながら成長してゆく次郎の姿が描かれる。
最後は、父・俊亮が酒店を閉めて養鶏業を始めるに至るいきさつが、次郎の日記という形で綴られる。そして、青年期にさしかかった次郎個人を待ちかまえる試練と、国民全体にのしかかろうとしている「時代」の試練を暗示してこの巻は終わっている。(2009.7.31記)
☆この作品は「青空文庫」で読みました。
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by nishinayuu | 2009-09-14 10:08 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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