「ほっ」と。キャンペーン

『次郎物語 第2部』(下村湖人著、池田書店)

c0077412_9433860.jpg第1部で亡くなった次郎の母は、今では観音様のような俤を次郎の心に残している。お祖母さんが意地悪なのは相変わらずだが、兄の恭一や弟の俊三とはごく普通の兄弟らしい交わりができるようになっている。特に恭一は、中学受験を控えた次郎を何くれとなく世話し、次郎も恭一を兄として、また先輩として頼りにするようになる。新しい出会いもある。父が「次郎のために」再婚したお芳、お芳の家族である大巻の豪快な老夫婦とお芳の弟・徹太郎、担任の権田原先生などである。こうして次郎の世界は少しずつ広がっていく。
次郎は、一度は受験に失敗するが、一年後には無事に中学生になる。しかし入学早々、在校生との対面式をきっかけに、上級生と対決する羽目に陥る。ここでいよいよ、後に次郎の精神的な成長に大きな影響を与えることになる朝倉先生の登場となる。
参考までに作者の「あとがき」の一部を引用しておく。
「第一部において、彼の幸不幸を決定したものは、主としてその環境であった。そして、彼はその環境に対して、いつも、自然児的、本能的、主我的な闘いを闘って来たのである。だが、第二部においては、彼は徐々に彼自身の内部に眼を向けはじめ、そこに、周囲から与えられる幸福以上の何ものかを、探し求めようとしている。かくて彼の闘いは、次第に、理性的、意志的、道義的になって行くのである。」(2009.7.11記)

☆この作品は「青空文庫」で読みました。画像は偕成社文庫のものです。
[PR]
by nishinayuu | 2009-08-27 09:44 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/12204188
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 倭建命 その11   白鳥の陵 『The Water-Babi... >>