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『森浦へ行く道』(黄皙暎著)

c0077412_9213948.jpg『삼포 가는 길』(황석영著)
日本語タイトルは『森浦へ行く道』。韓国の著名な作家・黄皙暎が1973年に発表したもの。
主要登場人物は三人。工事現場を渡り歩く20代のヨンダル、10年ぶりに故郷へ帰ろうとしている30代のチョン、あちこちの遊郭を経てきたけれどまだ22歳のペクファである。冬の道で偶然行き会った三人は、何となくいっしょに歩き始める。居酒屋を逃げ出してきたペクファには「懸賞金」がかかっているが、男二人はペクファを捕まえてお金をもらおうという気にはならず、むしろ足手まといなペクファをかばいながら歩き続ける。初めは互いにつっけんどんだった若い二人の間に、しだいに男女の情らしきものが芽生えるのを、チョンは黙って見守る。
国を挙げて開発授業に邁進していた時代に社会の底辺でもがいていた人びとを、思慮深く人情味のある、決して心まではすさんでいない存在として描き出した心温まる作品である。早朝の荒涼とした平原の描写に始まり、夕刻の荒涼とした平原の描写で終わっており、優れた短編映画を見終わったような印象が残る。(2009.6.12記)
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by nishinayuu | 2009-07-30 09:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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