『叶えられた祈り』(スウェイン・ウルフ著、飯田隆昭訳、角川春樹事務所)

c0077412_10342338.jpg冒頭に次のような詩が掲げられている。
知られざる時代、知られざる土地で
焔から黒い煙が湧き出で
恐怖におののく人びとの顔を隠す、恐ろしき仮面をおおう
照りつける日射しのもと
井戸の巻き上げ機がいにしえの歌をかなで
子供がひとり、降雨のきざしを求め
雨なき雲をじっと見つめている

この詩に物語のすべてが語り尽くされていると言ってよい。凄まじい干ばつが続き、人びとは不安におののいている。井戸が涸れたら愛する土地から出て行かざるを得ない、と父に聞かされた幼い少女サラ。彼女を支えるのは祖母のリリーと、他の人には見えない不思議な狐のマリシャン・ポリシャン。そんな力を持つサラは魔女で、日照りが続くのはサラのせいだ、と人びとの不安をあおる「トカゲ女」と、ヘンリータウンから来た三人組の男――警察官と裁判官と書記――がサラを追い詰める。
(2009.5.12記)
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by nishinayuu | 2009-07-02 10:34 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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