『海を渡るジュリア』(R.E.ハリス著、脇明子訳、岩波書店)

c0077412_9333596.jpg「ヒルクレストの娘たち」シリーズの第三巻で、前の二つの巻では脇役だった次女のジュリアの視点から描かれている。
末っ子のセーラを主人公にした第一巻、長女のフランセスを主人公にした第二巻に現れるジュリアは、フランセスほど「大人」ではないがフランセスがいちばん頼りにしているしっかり者の妹である。フランセスがマッケンジー夫人とそりが合わないため、両者の間にはしじゅう波風が立っているが、穏やかな性格のジュリアはそのどちらにも気に入られている。絵の才能にも恵まれているが、美術学校スレイドに行きなさいというフランセスの勧めを退けて、家政婦のアニーといっしょに家事全般をこなしている。実はジュリアは、フランセスの絵の才能は本物で、自分の才能はそれよりずっと劣るありきたりのものだと思っているのだった。そんなジュリアに転機が訪れる。従軍看護婦としてフランスに渡ることになったのだ。フランス戦線にはマッケンジー家の次男であるジョフリーもいた。次女と次男――優秀で周囲からも注目されている兄弟姉妹のなかで目立たない存在であることを自負しているふたりは、急速に親しくなっていく。家族から遠く離れたフランスでは、ジュリアもジョフリーも溌剌として輝いていた。
ジュリアの青春と、その後の結婚生活も描いたこの巻は、1910年から1930年まで、と時代は前の二巻よりずっと後にまで及んでいる。(2009.4.23記)
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by nishinayuu | 2009-06-25 09:33 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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