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『蝶の舌』(マヌエル・リバス著、野谷文昭・熊倉靖子訳、角川書店)

c0077412_1142597.jpgスペインの北西部にあるガリシア出身の著者がガリシア語で書いた短編集で、16の作品が収められている。原題は ¿Qué me quieres,amor? 『愛よ、僕にどうしろと?』である。
『蝶の舌』――1930年代、第2共和制が崩壊する直前の時期を描いたもの。蝶の舌を顕微鏡で見よう、というような楽しい授業を展開する教師のもとでのびのびと育っていく少年。そんな教師にお礼の気持ちを込めて、仕立屋の父親は服を縫ってプレゼントし、母親は遠出のときの弁当を作った。しかし1936年のある日、戦争が始まり、共和派と目された人たちが大勢捕らえられた。その人たちが引き出されてくると、通りに集められた人びとは、「裏切り者、アナーキスト」と罵声を浴びせる。そして最後にあの教師が引き出されてきたとき、父親と母親、そして少年は……。
冒頭のこの『蝶の舌』とそれに続く『霧の中のサックス』、『カルミーナ』の3作をもとにして映画『蝶の舌』が1999年に制作されている。
おかしくて哀しい『愛よ、僕にどうしろと』、背筋がぞくっとする『コンガ、コンガ』、愉快な落ちが付いている『コウモリのために咲く白い花』、母と息子、父と息子などが描かれた、『牛乳を注ぐ女』、『ミスターとアイアン・メイデン』など、内容も雰囲気もまったく異なる作品が収められている。(2009.2.25記)

☆状況がすぐには掴めない作品や途中で意味がわからなくなる作品もあって、気楽に楽しく読む、というわけにはいかない手強い本でした。
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by nishinayuu | 2009-05-19 11:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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