『それぞれの少女時代』(リュドミラ・ウリツカヤ著、沼野恭子訳、群像社)

c0077412_8591014.jpgスターリン時代末期(1950年代前半)のモスクワを舞台とした思春期前期の少女たちの群像(群像社だから群像なの?まさかね)。独裁政権時代の歪みと不安の中で揺れ動く大人たちの姿も同時に浮かび上がる。
6つの短編からなり、各編の主人公は同じ学校に通う少女たちである。
「他人の子」の主人公は双子の姉妹、ガヤーネとヴィクトリアであるが、物語の中心は二人の両親であるアルメニア人夫婦である。妻の妊娠を長い間知らされなかった父親のセルゴは、二人は自分の子ではないと思いこんでしまう。母親のマルガリータはそんな夫のせいで精神が麻痺して廃人のようになってしまう。
「他人の子」の主人公は引き続き双子の姉妹。顔立ちも気だてもよいガヤーネ(ガーカ)に、かわいさで劣り、性格もきついヴィクトリア(ヴィーカ)がとんでもないいたずらをしかける。
「奇跡のような凄腕」の主人公はピオネールに選ばれた優等生の少女たちと、劣等生のターニカ、そしてターニカの親戚で「奇跡の凄腕」の持ち主であるトーマおばさん。
「その年の三月二日……」の主人公は裕福なユダヤ人医師の両親を持つ優等生・リーリャ。親しい友だちもなく、いじめっ子のボドリクにつきまとわれ、大好きなおじいさんは死にかけているし、お腹も痛い……と、最悪の一日。「その年」とはスターリンが死んだ1953年のこと。
「風疹」の中心人物はアリョーナ。彼女の誕生パーティーに招かれた少女たちは、好奇心に駆られて「着せ替え遊び」で羽目を外をしたあげく、一斉に風疹にかかってしまう。
「かわいそうで幸せなターニカ」の主人公は劣悪な環境の中で暮らすターニカ。美しい女性教師・ルキナ先生に対する一途な恋を経て大人になっていく。(2009.1.12記)
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by nishinayuu | 2009-05-07 08:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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