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『ひとり日和』(青山七恵著、河出書房新社)

c0077412_1025833.jpg読書会「かんあおい」2009年3月の課題図書。2007年、第136回芥川賞受賞作。
21歳のわたし(三田知寿)が71歳の遠縁の女性(荻野吟子)と二人で暮らした一年間の物語。始まりは春。わたしは母に新宿まで送ってもらって電車を乗り換え、吟子さんの家へ行くのだが、その家は駅の北口から商店街を抜け、接骨医のところで折れ、路地をいくつか通って突き当たったところにあって、裏庭の向こうにある道路を隔てて駅のホームの端が見えた。わたしはいわゆるフリーターで、調布に事務所があるコンパニオン派遣会社や、笹塚駅のキオスクで働いている。また、付き合っている男の子と高尾山に行った帰りにつつじヶ丘駅で特急の通過待ちをしたりしているので、吟子さんの家は京王線の八幡山か芦花公園あたりか、と想像しながら読むと楽しい。
一年の間にわたしは2回も失恋して死にたくなったりするが、初めは「もうすぐ死にそう」に見えた吟子さんのほうは、ホウスケさんというボーイフレンドとのおつきあいを発展させ、毎日生き生きと暮らしている。そんな吟子さんと暮らしているうちに「わたしはこんなおばあさんになれるだろうか。70歳になっても身ぎれいにして、バレンタインにはチョコレートを買いに行く、そんな暮らしができるだろうか」と思うようになったわたしは、新しい自分になるために吟子さんの家をあとにする。(2009.2.8記)
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by nishinayuu | 2009-05-02 10:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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