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『剣の歌 2』 (キムフン箸)

c0077412_11143539.jpg原題は『칼의 노래 2』(김훈著、생각의 나무)
2008年7月に読んだ『칼의 노래1』の下巻。文禄の役・慶長の役(韓国では壬辰倭乱・丁酉倭乱)の英雄・李舜臣が一人称で語る物語。
いよいよ日本軍が朝鮮国土の奥深くまで侵攻してくると、王(宣祖)は襲撃を恐れて逃げ回りながら、自分の苦労と苦悩を涙ながらに訴え、敵の討伐を催促する手紙を何度も李舜臣に送りつけてくる。陸にいる敵と戦う術をもたない李舜臣は、そんな王の理不尽な訴えにじっと堪えつつ時を待つ。朝鮮海軍を援護するためにやってきたはずの明軍の将は、成り行きを眺めているばかりで実際の戦場とは遙かに離れた所に留まっていて動こうとしない。自分の使命は海で戦うことであり、戦いに勝つことである、と自覚する李舜臣は、そんな明軍の将を見限って、南の海に移った戦場に乗り出していく。
ここで李舜臣と対比されているのは非力で理不尽な王であり、横柄で卑劣な明軍の将であって、敵将の小西行長ではない。また、勇敢な朝鮮軍と残虐な日本軍、というような対比もない。戦場では敵味方の別なく誰もが無惨に死んでいくのである。李舜臣を戦場の勇者としてではなく、沈着冷静な思索の人として描いた読み応えのある作品である。
この作品は韓国最高の文学賞とも言われる「東仁文学賞」を受賞している。またこの作品をもとにしてKBSが大河ドラマ「不滅の李舜臣」を制作している。(2009.1.21記)
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by nishinayuu | 2009-04-09 11:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
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Commented by まるこ at 2009-04-15 22:54 x
蓮池薫さんが訳したこの本(上巻)を読みました。李舜臣が孤立無援な戦いを強いられていたんだなと感じました。
下巻もあるんですね。
また蓮池さんが訳すかもしれないのでそのときに読みます。
最近『王の女』という、この時代を扱った韓国ドラマにはまっています。
宣祖という王様は、ほんとにどーしょもない王様として見られてるようですね。
家臣も王子たちもみんな振り回されているという印象です。
「不滅の李舜臣」も日本のテレビでやってほしいです。
Commented by nishinayuu at 2009-04-16 10:07 x
蓮池さんが翻訳しているのですか。そのうち下巻も出るでしょうから、ぜひ読んでみてください。私はは韓国文の美しさに魅せられながら上巻を読み、下巻は主人公に共感しながら読みました。
『王の女』は第1話だけ見ました。続きも見たいのですが、我が家のテレビ環境ではまだ無理なので、GYAOの配信を待っているところです。
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