『ナターシャ』(デイヴィッド・ベズモーズギス著、小竹由美子訳、新潮クレストブックス)

c0077412_917481.jpg7つの短編からなる連作集。物語は旧ソヴィエト連邦ラトヴィアからカナダに移住してきたバーマン一家を軸にして時系列に沿って進められる。
冒頭の「タプカ」は1980年の春、一家がカナダに着いたばかりのころの話。一家の一人息子であるマークは小学校一年に編入し、父親のロマン、母親のベーラはカレッジの英語クラスに通っている。
「マッサージ療法士ロマン・バーマン」は父親が英語でマッサージ師の認定試験を受け、開業にこぎ着けたころの話。
「ナターシャ」は思春期にさしかかったマークが、大叔父の結婚した相手の連れ子であるナターシャに振り回される話。
最後の「ミニヤン」になるとマークは成人していて、祖母に先立たれた祖父が一人でやっていけるように何くれとなく面倒を見ている。

ゼロから出発したバーマン家の人びとが、こつこつと努力を重ねて徐々に安定した生活を手にしてゆく姿が愛情を込めて描かれている。そしてこの一家が旧ソ連出身でユダヤ系であることが、物語に独特の雰囲気と厚みを与えている。(2009.1.17記)
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by nishinayuu | 2009-04-07 09:17 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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