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『アインシュタインをトランクに乗せて』(マイケル・パタニティ著、藤井留美訳、ソニー・マガジン)

c0077412_9572638.jpgアインシュタインが1955年4月18日に息を引き取ったとき、遺体の解剖をしたプリンストン大学の病理学者トマス・ハーヴェイはアインシュタインの脳を取りだした。研究して天才の秘密を解明するため、ということだったが、研究の成果が発表されることもなく時は過ぎ、アインシュタインの脳もハーヴェイも姿を消した。
ふとしたことからハーヴェイの消息を知った著者はハーヴェイを訪ねる。そして、アインシュタインの脳を遺族に返したいというハーヴェイの願いを知った著者は、もののはずみで運転手となることを申し出る。こうして20世紀の偉大な天才にして奇人であるアインシュタインの脳と、天才ではないが立派な奇人であるハーヴェイと、始めから終わりまで徹底的にアッシー扱いをされる著者との「三人の旅」が始まる。

ニュージャージー州プリンストンから始まり、州間高速道路を通ってアメリカ大陸を横断しながらカリフォルニア州バークレーをめざすその道中の生き生きした描写は、まるでロード・ムーヴィーを見ているかのようであきさせない。また、ときには突飛でときには微笑ましいハーヴェイや、広島や長崎にも関わりなしとはいえない複雑な人生を送ったアインシュタインをはじめ、さまざまな人物についての描写、人物評も興味深い。(2008.12.25記)
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by nishinayuu | 2009-03-14 09:57 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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