『ジジの贈り物』(ジェラルド・セレンテ著、小沢瑞穂訳、文藝春秋)

c0077412_9544729.jpg離婚の痛手にうちひしがれていた著者が83歳の叔母ジジの家をたびたび訪れ、彼女の手料理を食べながらおしゃべりを楽しんでいるうちに元気を回復していく――というほんわかした物語の形を取りつつ、トレンド分析家としての著者の見解が18章にわたって繰り広げられている。
写真付きでジジの人生を細かく紹介しつつ、強かでもありお茶目でもある現在のジジの人となりを描いている「ほんわか物語」の部分は、これだけで一冊の読み物になる豊かな内容をもっている。一度は脳腫瘍で生死の境をさまよったこともあるジジが、スクラブルでは若い著者を寄せ付けない実力の持ち主、というところが特にいい。
ジジとの会話の中で展開されるトレンド分析では、1999年のアメリカ社会と現在の日本社会の類似に驚かされる。この手の文にややもすれば見られる決めつけや臭みが感じられないのですんなり読めるが、「キッチンでの会話」にしては力が入りすぎ、整然とまとまりすぎで、その点はややリアリティーに欠ける。
訳者のあとがきによると、著者は『トレンド・ジャーナル』というニューズレターの発行人で、テレビや新聞でも活躍している第一線のトレンド・アナリストだという。(2008.12.22記)
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by nishinayuu | 2009-03-12 09:56 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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