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『インド夜想曲』(アントニオ・タブッキ著、須賀敦子訳、白水社)

c0077412_2143284.jpgこの本は図書館の棚で見つけ、装丁が美しかったのと訳者が須賀敦子とあったので読む気になった。「夜想曲」とあるので「悲惨なインド」を主題にしたものではないだろうと期待して。
「夜想曲」であった。人も街もすべてが靄に包まれているような。語り手は行方不明の友人を捜しながら旅をしているのだが、語り手がどんな人物なのか、なんのために友人を捜しているのかはよくわからない。語り手に友人のことを尋ねられた人びとが友人のことを知っているのかどうかもよくわからない。語り手は最終的にはゴアへ行く用事があるということなのだが、それがどんな用事なのかもよくわからない。
それでいて読者はいつの間にか語り手の友人捜しの旅に同行している気分にさせられ、語り手の目にうつる人びとや街を眺めながら、インドをさまよい歩くことになる。そして最後にゴアで、語り手といっしょに旅をしていたつもりの読者をある仕掛けが待ちかまえている。読者を一瞬とまどわせはするが、なるほど、そう来たか、と思わせもするしゃれた結末である。。(2008.12.20記)

☆タブツキは初めてのような気がしていましたが、2003年5月に『供述によるとペレイラは…』を読んでいました。古い読書ノートに「外見もやっていることもさえないように見えた男・ペレイラが、しだいに‘まともな人間’として魅力をもって迫ってくる不思議な小説。翻訳が抜群」とあり、翻訳者の印象が強くて作者名は記憶に残らなかったようです。
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by nishinayuu | 2009-03-10 21:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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