『ぼくには数字が風景に見える』(ダニエル・タメット著、古谷美登里訳、講談社)

c0077412_925530.jpg原題はBorn on a Blue Day。文字や数字にそれぞれ独自の色が伴って見える、という著者の生まれたのは水曜日で、水曜日の色は青だという。それでBorn on a Blue day。
上記のような特殊な感覚(専門用語では「共感覚」という)を持つ著者には、複雑な数式もさまざまな色や形、動きを伴った風景に見えるため、瞬時に答えが見つかる。著者はまたπの数字を小数点以下22514桁まで暗唱してのけ、語学の習得にも驚くべき才能を発揮する。しかしこうした天才的能力を持つ一方で、彼には人とのコミュニケーションがうまくできないという障害があった。 
ザヴァン症候群とアスペルガー症候群という二つの発達障害を持つが故に、彼は泣きやまない赤ん坊、友だちのできない子どもであったし、靴紐も結べないしすぐに道に迷う手のかかる人間である。しかし彼はそうしたさまざまな困難を乗り切るために力を尽くし、すこしずつ自分の世界を広げていく。
そして彼の、特に財産や教育があるわけでもない両親は、発達障害についての知識もないままに、ひたすら親としての愛の力で彼を育み、見守り続けるのである。著者にもその両親にも心から拍手を送りたくなる、読後感がこのうえなく爽やかな本である。(2008.12.3記)

☆エスペラントについて述べているところで、訳の誤り(あるいは校正ミス)が一ヵ所ありました。rapida「はやく」となっていますが、正しくは「はやい」です。
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by nishinayuu | 2009-02-21 09:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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