『ガラスの鐘の下で』アナイス・ニン作品集(中田耕治・編訳、響文社)

c0077412_10152638.jpg『失われた庭』の中で著者の矢川澄子が何度も言及しているので、気になって読んでみた。第一部の「ガラスの鐘の下で」にアナイス・ニンの短編13編が、第二部の「アナイスについて」にアナイスの魅力を語る文が12編収められている。文字は暗い紫色で統一し、第一部はページの上下に大きくスペースを空けて中央部分だけを使う、というおしゃれで贅沢なつくりの本である。
第一部では冒頭の「ハウスボート」(だじゃれになっている?)とそれに続く「マウス」を面白く読んだ。セーヌに浮かぶハウスボートでの暮らしを描いた作品で、物質的にはともかく、精神的にはこの上なく自由で豊かな世界が繰り広げられている。この2編に比べると他の作品は詩的、幻想的要素が強く、つかみどころがない。これがこの作者の特徴らしいのだが、今回はなんとなく波長が合わなくて読むのがちょっと辛かった。
第二部はアナイスの人と作品をよく知る人たちの文を集めたもので、アナイスを知るための教科書として読める。ただし、この本のために書き下ろしたものではないせいか、内容の重複が多い。(2008.11.26記)
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by nishinayuu | 2009-02-14 10:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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