『18年めの奇跡』(D・L・スミス著、宇佐川晶子訳、光文社)

c0077412_15134271.jpgアメリカは南オレゴン大学演劇科教授で劇作家という著者の最初の小説作品だという。本を手にした時、アメリカ人がなぜイタリアの田舎を舞台にした話を書いたのか、と思ったが、読み始めたら作者の国籍はたちまち念頭から消えてしまった。イタリアの田舎ならこんなことがあってもおかしくないのではないか、思わせる(といってもイタリアには行ったことがないのだが)、奇想天外ながら細かいところは実にリアリスティックな、読み出したら止まらない魅力的なお話。なお、上記の疑問の答えは「訳者あとがき」にあって、いちおう納得したが、どうでもいい内容だった。

舞台はイタリア・トスカーナ地方の架空の村、サント・フィーコ(聖なるイチジク!)。主な登場人物は、幹線から外れたこの辺鄙な村でホテルを営むマルタ。その幼なじみで後に夫となり、二人の娘を残して世を去ったフランコ。同じく幼なじみで、マルタとフランコの結婚式の前の晩にマルタの許を訪れたあとアメリカに渡ってしまったレオ。同じく幼なじみで気の小さいトポ。そして村の古い教会の神父エリオ。
このサント・フィーコにレオが18年ぶりにやってくる。父親の残した土地を処分してさっさとアメリカに戻るつもりだった。村に愛着のないレオは、迷い込んできた観光バスの乗客たちを騙したり、地震で崩れた教会から壁画を盗んだりして、自堕落な日々を送っていた。しかし、そうこうしているうちにしだいに身動きができない状況に追い込まれていき、ついに、避けていたマルタとの対決のときが……。(2008.11.2記)
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by nishinayuu | 2009-01-29 15:13 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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