『ガブリエル・アンジェリコの恋』(クリスティン・ヴァラ著、中川あゆみ訳、ポプラ社)

c0077412_10131616.jpg「彼の名はガブリエル・アンジェリコ。生まれつき心臓が右の胸にあった。一生を、同じ町の同じ家で過ごした。世界地図を広げても見つからないほどちっぽけな地点で。」という文で始まるこの小説の主人公アンジェリコは、ひ弱で病気がちの少年期を過ごし、やがて背の高いやさしげな若者になり、大学に職を得て、学生に好かれかつ尊敬されるために自分で自分を笑いものにするのがいちばんと思い定めて笑いに満ちた授業を繰り広げる。そんな彼がある日、教室に現れた一人の女子学生を見て、「教師生活で初めて、大事な最初の台詞を忘れてしまった。」
アンジェリコの「運命の人」であるその女子学生、クララ・ヨルゲンセンは子どもの頃は両親の仕事の関係で、長じてからは自分の意思で世界中を旅してきた。そんな彼女もまた、アンジェリコ教授を見た瞬間、「顔は火でも付いたように熱くなり、目はかすみがかかったようになった。」
こうして二人の恋が始まる。が、クララにはアンジェリコの知らない別の世界があった。そしてクララにとって「好きな人が必ずしもいっしょに暮らすのにふさわしい人とは限らなかった」のだった。(2008.10.19記)

☆話全体に占める比重と視点からすると、「アンジェリコの恋」というより「クララの恋」というタイトルにしたほうがいいようです。 クララという人物は作者が若き日の自分を投影したものではないだろうか、と思いながら読みました。
[PR]
by nishinayuu | 2009-01-13 10:12 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/10593213
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『Five Children ... 『奇妙な季節』(ジャン=マルク... >>