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『ミーナの行進』(小川洋子著、中央公論新社)

c0077412_10243551.jpg1972年の3月15日に山陽新幹線新大阪―岡山間が開通。その翌日、小学校を卒業したばかりの朋子は岡山駅から一人で新幹線に乗って芦屋へ向かった。朋子の父が亡くなってから一人で朋子を育ててきた母が、東京の専門学校に一年間通うことになり、朋子は母の姉夫婦のもとで暮らすことになったのだ。その芦屋の家にはドイツ人のおばあさん、ハーフのかっこいい伯父さん、伯母さん、一つ年下の女の子ミーナ、お手伝いの米田さん、庭師の小林さんがいて、庭にはなんとコビトカバがいた。
朋子がいっしょに過ごした芦屋の家族の、豪華で優雅で楽しくてどこかもの悲しい一年間の思い出と、明るい後日談からなる物語。(2008.10.10記)

☆装丁・装画(寺田順三)に魅せられて手にとりました。色合いがなんとも美しく、独立した一つ一つの絵としても楽しめます。しかも本を読んでみると内容にぴったり合っていることがわかり、あらためてしげしげと眺めてしまう、そんなすてきな装画です。
☆こんなすてきな描写がありました。「芦屋の夏は海の方角から駆け上がってくるようにしてやって来た。梅雨が明けたとたん、それまでどんよりと曇った空に飲み込まれていた海が、鮮やかな色を取り戻し、視界の隅から隅まで一本の水平線を目でたどることができるようになった。光も風も一度海の上に舞い上がり、たっぷりと潮の香りを含んでから山裾に向かってせり上がってきた。あれ、海が昨日より近くにある、と思ったときが、夏の訪れの合図だった。」
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by nishinayuu | 2009-01-03 10:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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