『ラヴェル』(ジャン・エシュノーズ著、関口涼子訳、みすず書房)

c0077412_10512738.jpgフランスの作曲家モーリス・ラヴェル(1875~1937)の最後の10年間を、伝記、書簡、回想記などからの引用を取り入れつつ描いた伝記風小説。
著者はあの愉快な小説『ピアノ・ソロ』のジャン・エシュノーズ。訳者のあとがきによると著者は――作品の中でラヴェルが「話している」部分はすべて、ラヴェルの書簡、講演会、身近な人たちの証言などからの抜粋であるようにした――と語っているという。つまり、小説ではあるけれどもかなり忠実にラヴェルの生の声を伝えているということになる。 
写真で見ると端正な感じのするラヴェルが、端正というよりは見ていて面白い人だったことがわかる。ラヴェルのピアノの腕はひどいものだったとか、ラヴェルがボレロには音楽が欠如していると言ったというような、がっくりくるようなエピソードもあれば、事故のあとだんだん脳の働きが衰えていくもの悲しいエピソードもあるけれど、とにかく人間ラヴェルの魅力がぎっしり詰まった小説である。もちろん音楽関係のエピソードもいっぱいあり、独特の流れるようなリズムと相まって、音楽の世界に浸らせてくれる。(2008.9.29記)

☆なにを隠そう、ボレロのエピソードにがっくり来たのはこのわたし。それでもやっぱりボレロはいいですね。特に生演奏を「見ながら」聞くと、一つ一つの楽器と、一人一人の演奏者が順番に紹介されていくので、耳でも目でも楽しめます。
☆揚げ足取りのようですが、26ページ3行目「世界中の大型客船上では一日千秋そうであるように、十一時にはデッキでコンソメスープが供される。」の「一日千秋そうであるように」は「十年一日のように」の間違いでしょう。
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by nishinayuu | 2008-12-27 10:51 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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