『盤上の敵』(北村薫著、講談社)

c0077412_1032023.jpg目次を見ると、第1部「駒の配置」、第1章黒のキングが盤上に置かれる、とあるので一瞬、チェスの話かな、と思うが、第2章白のクイーンが話す、第3章白のキングが話す、と続くので、チェスの駒は人間を指していることがわかる。

さて、最初の登場人物は銃を手に入れてこれから鴨撃ちに行こうという章一郎。これが黒のキングかと思いながら読んでいくと、章一郎がひどく凶悪な男に捕まってしまう。ここであとから登場したのが本物の黒のキングだとわかる。
次に白のクイーンとして登場するのはとても傷つきやすい感じの女性。いかにも白という感じ。そして白のキングとして登場するのはテレビ・ディレクターの末永純一。純一という名前もいかにも白っぽい。この末永が書店員をしていた友貴子と出会い、結婚して白のキングとクイーンとなっている。このふたりが交互に話をする形で友貴子の生い立ちと、今ふたりに降りかかった事件が明かされていく。
しかし盤上にはなかなか黒のクイーンが現れない。300ページあまりの本書の147ページのところでやっと登場するのである。それからがとにかく凄まじい。凶悪な黒のキングより遙かに恐ろしいこの黒のクイーンの攻撃を、はたして白のキングとクイーンは無事にかわすことができるのだろうか。

☆構成はとてもうまいと思いますが、こんな恐ろしいキャラクターを持ってこなくても、と思ったことでした。ちょっと寂しいけれどもほんわかした印象の『月の砂漠をさばさばと』を読書会(2008年9月、担当nishina)のために読み直した直後だったので、なおさらそう感じたのかも知れません。(2008.9.17記)
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by nishinayuu | 2008-12-18 10:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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