「ほっ」と。キャンペーン

『虚空の旅人』(上橋菜穂子著、新潮文庫)

c0077412_1054155.jpg「守り人」シリーズの4巻目であるが、タイトルが「守り人」から「旅人」に変わり、物語の世界はさらに大きく広がる。

今回の舞台は新ヨゴ国のはるか南にあるサンガル王国。この国はたくさんの島々から成る海洋国で、各島の島守に王女を嫁がせることによって、そうでなければばらばらの島じまを一つにまとめている。王家の女たちの結束によって国が保たれているのである。また、王国周辺の海にはどの国にも属さず、一生を舟の上で過ごすラッシャローと呼ばれる民がいる。このサンガル王国の「新王即位の儀」に列席するため、各国から王族や高官たちがサンガルの王宮に参集する。新ヨゴ王国からはチャグムとシュガが派遣されてきている。ところが、華やかな儀式の準備が進められるなかで、王国をおびやかす陰謀が島守たちの間で進められていたのである。首謀者は王家の長女を妻としているカルシュ島の島守りであるが、彼の背後には彼を唆して王家への反乱をあおる謎の人物がいた。

この巻は、意志が強く、賢明な王家の女たち、健気なラッシャローの娘、過酷な運命を負わされた漁師の幼い娘など、女性たちについて物語る巻とも言える。そんななかで、女性のように繊細でたおやかなチャグムも大活躍し、人間としても王の跡継ぎとしても大きく成長した姿を見せてくれる。(2008.8.22記)
[PR]
by nishinayuu | 2008-11-20 10:54 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/10170700
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『羽の音』(大島真寿美著、理論社) 「歯医者の関心は」   特派員... >>